確かにクレーム対応はオペレーターに立ちはだかる壁の一つですね。
それでは、今回はクレームが100%解決する4つの対応手順についてご紹介しましょう。
クレーム対応は、コールセンターでの勤務が敬遠される主な理由の一つですよね。
私がコールセンターで勤務していた頃、クレーム対応に悩みオペレーターとして働く事を断念してしまう方が多く見られました。
クレーム対応はそれだけ初心者のオペレーターさんにとってハードルが高い事なのですが、実はクレームは業務の改善や売上向上に必要不可欠なものだって知っていましたか?
本記事でクレームが100%解決する対応手順をご紹介しますので、お客様からのクレームを上手に活用して業務改善に役立ててくださいね。
- クレーム対応に必要な手順は4つです。
- この世に解決しないクレームは存在しません。
- 解決が難しいと思ったクレームは迷わずSVに相談しましょう。
もくじ
クレームの解決に必要な4つの基本手順
クレーム対応は以下の4つの手順にそって進めていきます。
- お詫び・心情理解
- 事実確認と問題点の特定
- 解決策の提案・交渉
- お詫び・ご意見をいただいたお礼
クレームの内容やお客様の興奮度合いによって順番が前後したり、どこかの段階で対応が停滞したりする事はありますが、基本的にこのフォーマット通りに対応していけばOKです。
手順通りにクレーム対応が行われなかった場合
上記は、先ほどご紹介した手順通りにクレーム対応が行われなかった一例です。
不良品を新しい商品と取り替え、お客様が抱える問題は解決しています。
しかし、この例では「3:解決策の提案・交渉」と「4:お詫び」のみの対応が取られており、商品が使えなかった不満に対するお詫びや共感が抜けている事が分かりますね。
さらに事実確認が出来ていない事もクレーム解決を遅らせる原因になります。
この対応はお客様にとって機械的に感じられるため、二次クレーム(※)に発展する危険があります。二次クレームを解決させるのは通常のクレームと比較にならないほど大変です。
※二次クレーム……不適切な対応が原因で発生するクレーム。
クレーム対応の経験が浅いオペレーターさんは、解決を焦って「3:解決策の提案・交渉」から対応をスタートさせがちです。
今回ご紹介した手順はどれも重要な項目ですので、焦らず確実に一つずつ対応を進めていきましょう。
クレーム対応手順1:お詫び・心情理解
クレームを入れるお客様は、それまでに感じた不便さや不快な気持ちを理解してほしいと感じています。なので、一番始めはお詫びと共感を示し、お客様のお話に耳を傾けましょう。
オペレーターが最初に「お詫び」と「共感」を伝える事で、お客様は
と理解し安心します。
この段階では、何か言いたい事があっても辛抱強くお客様のお話を聞く事に徹する事がコツです。
「早く切り上げよう」という考えをお客様は敏感に察知しますので、決して焦らないでください。
お客様がひどく興奮してらっしゃる時は、この「お詫び・心情理解」の時間を長めにとってお客様が落ち着くのを待ちましょう。
一通り不満を言い切る事はお客様の不満解消に繋がります。
この段階では、適度に相槌を打って「私はお客様のお話をしっかり聴いていますよ」という姿勢をアピールしましょう。
- お客様の話を聴き、共感を示す
- 早く解決させようと強引に話を進めない
- 興奮しているお客様も根気強くお話を聴き、興奮度を下げる
クレーム対応手順2:事実確認と問題点の特定
クレーム対応で意外と出来ていない方が多いのが、この「事実確認と問題点の特定」です。
お客様がどんなに興奮していても、慌てず冷静に事実と問題点を特定するように心がけましょう。
ここはオペレーターとしての聴く技術が要求される場面ですので、クレーム解決に必要だと思った情報はすべて細かくメモしておく事をオススメします。
この段階では最低限、下記の事柄を把握しておくようにしましょう。
- トラブルが発生した日時と場所
- お客様が感じておられる不満点(何が不満なのか?)
- お客様が不満を感じておられないなら、誰が不満を感じておられるのか?
- お客様が希望する対応は何か?
お客様の興奮度があまりにも高く収集がつかない場合は、お客様が不満に思っている点を出来るだけ多く聞き取り、一旦折り返しのお電話で対応を進めるようにしても問題ありません。
時間を置いて再度お電話をかけると、お客様が冷静になっている場合があります。
お客様が求めておられる対応が難しいと感じた場合は、遠慮なくSVなどの上席に報告・相談しましょう。
いわゆる「特別扱い」を断固拒否する必要はありません。
お客様の言いなりになれというわけではありませんが、私はご迷惑をおかけしているお客様に対しては柔軟に対応するのが望ましいと考えています。
しかし、どこまで柔軟に対応するかはSVの方とよく相談の上、対応方法を検討するようにしましょう。
- クレーム解決に必要な情報とお客様の状況を正しく把握する
- お客様の興奮が収まらない場合は、時間を置いて対応する
- 要望通りの対応が難しいと感じた時は迷わずSVに相談する
クレーム対応手順3:解決策の提案・交渉
ここまでで、お客様の心情と解決すべき問題が把握出来ました。
ここからはお客様が抱えておられる問題の解決策を模索し、ご提案していきます。
お客様の要望通りの対応が出来れば万々歳ですが、法律や規則の関係上ご希望通りに事が進まない場合もありますよね。
この場合、絶対にお客様に言ってはいけない言葉が
- 規則ですから、ご対応いたしかねます。
- 違法なので無理です。
このようなご案内です。
規則や条例といった事情は仕方のない事ですが、あくまでもオペレーターや組織側の事情です。どんな理由であっても、お断りする場合はお客様の目線に立って言葉を選ぶようにしましょう。
どうしてもお客様の希望にそえない場合は、クッション言葉を活用すると印象が柔らかくなります。
クッション言葉を上手に利用して、ご希望にそえない理由をお客様に丁寧にご説明しましょう。
- ご希望にお応えできず申し訳ございませんが
- ご事情もお伺いしておりますところ、恐縮ですが
- お客様のお気持ちは大変よく分かるのですが
お客様にご納得いただけない場合も、根気よく丁寧に説明に努めましょう。お客様の粘りに根負けして要望通り違法な手続きをしてしまっては、後々大きな損失に繋がってしまいます。
誠心誠意、分かりやすく丁寧に説明を重ねる事が大切です。
- お客様の問題を解決出来る提案をする
- ご希望にそえない場合、しっかりと理由を説明の上、お断りする
- お断りする場合は、クッション言葉を上手に活用する
クレーム対応手順4:お詫び・ご意見をいただいたお礼
解決策をご提案し、お客様もご納得いただければクレーム対応もラストスパートです!
ここでも気を抜かず、お客様に対してもう一度お詫び、またはご意見をいただいたお礼を伝えて対応を終えましょう。
お客様に非が無い場合は誠心誠意お詫びし、クレームは組織内で共有す事をお伝えしてください。
お詫びの時は、ただ「申し訳ございません」と言うのではなく、「○○して申し訳ございません」と理由も一緒に伝えるようにすると具体性が出て誠実な謝罪になります。
- ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ございません。
- お手数をおかけいたしまして申し訳ございません。
お客様から寄せられたクレームの中には、業務改善や売上向上に繋がる重要なご意見が含まれている場合が多々あります。
このようなご意見をいただいた場合は、貴重なご意見をいただいたお礼を必ず伝えましょう。
私は7年間コールセンターで勤務してきましたが、その時も手順3:解決策のご提案をした時点でクレーム対応を終了してしまうケースがチラホラ見られました。
最後に丁寧なお詫びやお礼を添えるだけで、お客様からの印象が格段に良くなりますので、しっかりと行いましょう♪
これでクレーム対応は終了です! お疲れ様でした!!
- 最後にもう一度お詫び・お礼を伝える事で組織の信頼に繋がる
- 謝罪の言葉は、理由と一緒に伝える
- お客様からご意見をいただいた場合は、社内で共有する
クレーム発生~解決までの対応例【電話・メール編】
クレーム対応の基本的な流れは分かりました! でも今は頭で分かってるだけで実践に活かせるか不安です。
具体的な対応方法を教えてもらえませんか?
それでは、私が実際に解決したクレーム対応の事例を一つご紹介しましょう。
今回ご紹介した手順にそって対応を進めていますので、参考になるかと思いますよ。
クレーム対応は知識の量よりも経験がものをいいますので、件数を重ねていく事で感覚的に習得していくパターンがほとんどです。
しかし、まったく情報がない状態で実践に臨むのも不安かと思いますので、今回はお電話とメールでの対応事例をご紹介させていただきます。
お電話でのクレーム対応
メールでのクレーム対応
このたびは、お手数をおかけいたしまして誠に申し訳ございません。(クレーム対応1:お詫び・心情理解)
ご指摘いただきました「テレビが映らない」との症状は初期不良の可能性がございますので、一度新しい商品とお取り替えさせていただきます。(クレーム対応2:事実確認・問題点の特定)
交換方法は~~です。(クレーム対応3:解決策の提案)
ご迷惑をおかけいたしておりますところ、さらにお手間を頂戴するご案内となり申し訳ございません。
何卒よろしくお願い申し上げます。(クレーム対応4:お詫び・ご意見をいただいたお礼)
そもそも、解決しないクレームは存在しない
クレームが怖いすべてのオペレーターさんにお伝えしたい事は
クレームは100%解決する
という事です。
私はオペレーター時代、年間3,000件のクレーム対応を経験してきました。
中には自分勝手なクレームや理不尽なクレームもあり、訴訟にまで発展した案件もありましたが、絶対に沈下しないクレームは1件もありませんでした。
クレーム対応のコツはお客様の怒り・不満に共感を示す事
クレーム対応は最初が肝心です。
私は「1:お詫び・心情理解」の対応如何でクレーム対応の勝負が9割決まると考えています。
お客様の怒り・不満に共感し、お詫びする事で信頼関係が生まれます。
ここで築いた信頼関係は、後のクレーム対応の難易度を大きく左右するので、初回の対応は本当に大事です。
もちろん解決しないクレームは存在しません。
この考えは変わりませんが、私はオペレーターの対応が原因でお客様の反感を買い、非常に大きなクレームに発展してしまったケースを数え切れないほど目にしています。
クレーム対応の経験が浅い方は、クレームを大きくしないためにも、まず「1:お詫び・心情理解」をしっかりと行うようにしましょう。
まとめ:順を追って対応すれば、クレームは怖くない
今回はクレームが100%解決する対応方法をご紹介しました。
ご紹介した手順にそって対応を進めれば、クレームは解決していきますが、何よりも大切なのは、お客様への共感とオペレーターであるあなたの誠実さです。
根性論のようになって申し訳ないのですが、顔が見えない電話やメールでの接客でもお客様は敏感にこちらの態度や心理を察知します。
お客様の問題にどれだけ向き合えるかが早期クレーム解決への第一歩かと思います。
クレーム対応は知識だけではなく経験も重要な分野ですので、少しずつ経験を積みながらクレーム対応スキルを磨いていってくださいね。