クレーム対応の経験を積んでいくと、オペレーターの説明に中々納得しないお客様に出会います。
対応が長引くにつれ、オペレーターが根負けしてお客様の要望通りに対応を進めようとする場面に遭遇しますが、このような対応は少し危険です。
そこで、年間3,000件のクレームを解決してきた元プロのオペレーターである私が、納得しないお客様の対応についてお伝えします。
- クレームで軽はずみな対応は絶対ダメです。
- 納得しない場合も希望にそえない理由を根気強く説明するしかありません。
- 第三者を交えて交渉する事も方法の一つです。
もくじ
クレームで「お客様が納得しないから」と要求をのむのは厳禁
クレーム対応で「お客様が納得しないから」と安易に要望に応えるのは絶対にやめましょう。
クレームが長引いてくると、「これで納得してくれるなら……」とついご希望通りの対応を取りたくなってしまいますよね。
もちろん、お客様のご要望通りの対応をする事で、その場のクレームは解決し、お客様から感謝されるかもしれません。
しかし、「お客様が納得しないから」と軽はずみに特別対応をした場合、
このような事態を招きます。
特別対応をする事で新たなクレームが発生する可能性がある事も頭の片隅に置いておきましょう。
クレーム対応は出来るだけ柔軟になるのが理想だけど……
しかし、世の中には出来る事と出来ない事があります。クレーム対応では、出来ない事は「出来ない」とお断りする事も必要です。
私は、クレーム対応はある程度柔軟な対応をする事が望ましいと考えていますが、お客様がご希望される対応の中にはお断りしなくてはならない要望も存在します。
例えば
このように法律や規則に反する要望は、どんなに激しいクレームでもお断りしなくてはなりません。
クレーム対応は出来るだけ柔軟になるのが理想ですが、安易に何でもかんでも要望を聞き入れるのは大損害に繋がりますので気をつけましょう。
特別対応は「納得しないから」ではなく「お客様のためになるか?」で判断しよう
クレームを入れているお客様に特別対応をする時に考えていただきたいのは「本当にこの対応はお客様のためになるか?」です。
先ほど例に挙げた消費税の件について考えてみましょう。
この要望に根負けして消費税の減額を聞き入れた場合「脱税を手伝った悪い組織だ」という烙印を押されてしまう危険性があります。何より脱税に加担する事はお客様のためになりません。
特別対応を希望された場合は、そうする事で生まれるリスクも考慮してみましょう。
- クレーム対応は出来るだけ柔軟になる事が理想
- 出来ない事を「出来る」と言わない
- お客様のためにならない特別対応は行わない
希望にそえない時は丁寧に説明して納得していただくしかない
日々クレーム対応の経験を重ねて行くと、中には説明を重ねても中々納得されないお客様に遭遇します。
このようなお客様の対応策は
ご納得いただけるまで丁寧に説明を重ねる
この一択です。
通常のクレームに比べて解決に時間がかかりますが、根気よくご説明してお客様にご理解いただく他ありません。
クレームが瞬時に解決する「魔法の言葉」は存在しない
残念ながらクレームがすぐに解決する「魔法の言葉」は存在しません。
長引いているクレームを抱えている時、お客様がすぐに納得する攻略法が欲しくなりますが、出来ない事は「出来ない」と伝え理由を丁重にご説明する事がクレーム解決の近道です。
クレームを早く解決させる事が必ずしも良い事とは限りません。
例え時間がかかってもお客様が納得し、気持ちよくお電話を置いていただける対応が良いクレーム対応です。
私はSVとしてコールセンターで働いていた頃、オペレーターさんからクレームの相談を数多く受けてきました。
ご案内している内容にまったく問題がなくても「お客様が納得しない」という理由から、ご自身の対応に自信をなくしてしまっている方が多数いらっしゃったのを覚えています。
同じ内容でもオペレーターがオドオドと自信なさげに案内すると、お客様はオペレーターの話を信用しなくなります。
オペレーターの頼りない対応により、お客様との信頼関係が崩れ、さらに解決が遅れる……まさに悪循環に陥ってしまいますので、ご案内の際は自信を持って堂々とご案内するようにしましょう。
お客様が納得しない時に試すと良い事
- 対応する人を変える
- 時間を置いて改める
- 場所を変えて対応する
対応する人を変える
コールセンターにお電話を入れるお客様には様々な方がいらっしゃいます。
オペレーターも人間ですので、お客様によってどうしても相性というものがあります。
クレームを入れているお客様が納得しない時、対応する人を変える事ですんなりと解決する事もあります。
まったく話を聞き入れてくれなかったお客様の態度が担当を変える事で軟化する事はよくあります。
同じ内容でも複数の担当者から説明を聞く事でオペレーターの話に説得力が生まれ、お客様も納得しやすくなります。
時間を置いて改める
お客様が非常に興奮してらっしゃる場合、時間を置いて対応するのが有効です。
経緯が複雑なクレームの場合も、確実なご案内をするために時間をいただくようにしてください。
事実確認が不十分なまま対応を進めるのはクレームがこじれる原因になりますので、気をつけましょう。
場所を変えて対応する
お客様に多大なご迷惑をおかけしている場合、コールセンターで電話越しに対応するのではなく、お客様のご自宅など対応場所を変えてみるのも一つの手です。
担当者が直接お詫びに伺う事は、迅速に対応するという企業姿勢を見せる事が出来ます。
お客様のご自宅に訪問する際は、事前に日時の打ち合わせをしておきましょう。
第三者に伝言を残すのではなく、必ずお客様ご本人とお話する事が大切です。
- お客様が納得しない場合も、丁重に説明を重ねて納得してもらうように努める
- クレームが即解決する「魔法の言葉」は存在しない
- クレームが解決しない場合は人や場所、時間を変えて対応するのも一つの手
納得しないお客様が「法的手段を取る」と言われた時は
中にはどれだけ説明を重ねても納得せず、最終的に「法的手段を取る」とおっしゃるお客様もいらっしゃいます。
非常に稀ではありますが、オペレーターとお客様の間で話がまとまらない場合は第三者を交えて交渉を進める事もあります。
この段階まで進んだ場合はオペレーター本人だけでは対応出来ませんので、SVや上長に報告の上、対応を引き継いでもらいましょう。
法的手段に訴える、というのはお客様がその場の勢いで言っただけ、というケースがほとんどですが、実際に訴状が届いてからでは大変ですので早め早めの情報共有を心がけてください。
オペレーターであるあなたは、お客様にとって企業の代表です。企業の代表が気軽に「どうぞ」と伝える事で、企業が訴訟をオススメしていると取られかねませんので気をつけましょう。
法的手段に訴える事は、あくまでも「お客様の判断である」という姿勢で対応してください。
- 訴訟に発展した場合はSVや上長に対応を依頼する
- 引き継ぎの際はクレームの内容をしっかりと引き継ぐ
- 法的手段を取るのは「お客様の判断」なのでオペレーター側からはオススメしない
まとめ:クレームが長引いた時こそ冷静になって対応しよう
今回はクレームを入れているお客様が納得しない場合の対応方法をご紹介しました。
お客様が中々納得しないクレームは得てして対応が長引きがちですが、解決のために必要なのは「根気強いご説明とお詫び」しかありません。
クレームが即時解決する「魔法の言葉」は存在しませんので、コツコツと対応にあたる事が重要です。
ちなみに、3,000件のクレームを解決してきた私が解決まで最も長引いたクレームの対応期間は「4年」です。
クレーム対応では、お客様の信頼を勝ち取るためにも、自信を持って対応に臨みましょう。