残念ながら、オペレーターの説明不足でお客様が激昴し、大きなクレームに発展してしまう事はよくあります。
もちろん、お客様がただ忘れているだけだったり、勘違いだったりするケースも往々にしてあるのですが、大体はオペレーターの説明不足です。
今回は、クレームを発生させてします要因である「説明不足」について、実際の対応事例を交えながらお伝えしていきます。
- 説明不足が原因で発生するクレームは多いです。
- 不明点はその場で回答せず確認してからの案内が鉄則です。
- 説明で回避出来るクレームは未然に防ぎましょう。
もくじ
説明不足が原因で発生するクレームは多い
オペレーターの説明不足が原因で発生しているクレームは多いです。
説明不足が原因のクレームを防止するには事前によくよくご説明するしかないのですが、これにはお客様のご希望や隠れた勘違いを見抜くヒアリング能力が要求されます。
クレームの原因が「説明不足」だった、というのは簡単ですが、お客様に必要な情報を過不足なくご説明するのは難しいです。これが出来るオペレーターはとても優秀で頼りになります。
例えば
というご質問をいただいた場合、
このようなご案内だと、少し不親切です。
よろしければバンドサイズの調整も承りますが、いかがでしょうか。
このようなご案内であれば、お客様ご自身でも意識出来ていなかった不明点も解消されるため、顧客満足度の向上に繋がります。
コールセンターに勤務して日が浅い場合は、配布されたトークスクリプトをアレンジせず、記載された通りのご案内をするようにしてください。
トークスクリプトはすべてのお客様が100%ご理解いただけるような作りにはなっていませんが、大半のお客様の疑問点は解消されるハズです。
大多数のお客様は担当者の説明不足を見抜けない
オペレーターになりたてだった私は、このような期待を持って顧客対応に臨んでいましたが、この考えは誤りでした。
大多数のお客様は担当者の説明不足を見抜けない事に気付いたからです。
- 説明をよく理解出来ていない箇所がある
- そもそも案内を勘違いしている
ご案内中、このような事態が起こっている事をお客様は自覚出来ていません。オペレーターが出来るだけ先回りして教えてあげる事が大切です。
また、対応中に分からない事があってもタイミングが掴めずに質問が出来ないお客様は結構多いです。
説明が複雑になってきたり、長時間になったりした時は、要所要所で立ち止まって
とお客様に質問をするタイミングを作ってあげてください。
この一声をかけるだけで、お客様とオペレーター間で発生している認識のズレを防ぐ効果があります。
とても簡単なテクニックなので、ぜひお試しください。
回避出来ないクレームは早い段階で発生させる
確かに不要なクレームは避けるべきです。
ただし
お客様が希望しているが、組織側では出来ない事
上記のような事が原因でお客様と折り合いがつかず、クレームに発展するなら早い段階が良いです。
「【クレーム対応】お客様が納得しないからと安易に要望に応えるのは厳禁です。」でも似たような事をお伝えしましたが、お客様に対して八方美人な対応をすると後々大きな損害やクレームに発展するリスクがあります。
お家のリフォームや美容整形などをベースに考えると分かりやすいです。
ご希望にそえない事が分かっているにも関わらず、担当者が特に説明せず施工(施術)したらどれほど恐ろしい結果を招くかは想像に難くありませんよね。
実際に施工(施術)が終わってから、
とクレームが入ったら大変です。特に美容整形は、施術後だと取り返しがつきません。
対応したお客様と必ず揉め事に発展するなら問題ですが、しかるべき案内をして発生するクレームはオペレーターの責任ではありません。
出来ない事を「出来る」と言って後で重大なクレームを発生させるより、出来ない事は「出来ない」とお伝えして「謝って済む」クレームを収束させる方がお客様にとってもオペレーターにとっても負担が少ないです。
- 過不足ない説明にはヒアリング能力が不可欠
- 慣れないうちはトークスクリプトにそった案内をする
- 避けられないクレームは「謝って済む」段階で収束させる
【クレーム対応事例】希望する納期に間に合わなかった
今回は、オペレーターの説明不足が原因で発生したクレームを対応事例としてご紹介します。
お問い合わせ当時のお客様の情報は以下の通りです。
- 60代男性
- インターネット通販でホビー商品をご注文。
- ご注文時に希望日を「1月1日午前中(仮)」と指定。
クレーム対応事例①:初回入電【対応日:12月31日】
すみませんが、そちらで訂正してもらえませんか?
住所は~~です。
かしこまりました。お客様のご注文内容を確認いたしましたところ、すでに商品を出荷済みでございました。
配送業者へ配送先の変更を申し伝える事も可能ですが、いかがいたしましょうか。
オペレーターの△△さんは、お客様との通話終了後、ご依頼通り配送業者へお届け先の変更を依頼しました。
配送業者も変更依頼を承諾し、コールセンター内での手続きは終了しています。
クレーム対応事例②:クレーム発生【対応日:1月1日】
希望日当日の1月1日午後、お客様よりクレームが入ります。
対応履歴を確認したところ、初回対応をしたオペレーター:△△さんが配送先の変更によって生じる配達日の遅延を説明していなかった事が判明したのです。
出荷後の荷物は、どれだけ早い段階で変更の依頼をしても一旦は当初の配送先管轄の営業所へ送られます。
営業所に到着した後、新しい配送先の担当店へ転送されるので当初の配送予定から数時間~数日ずれ込む事があります。
二次対応をしたオペレーターは、商品の転送にともなう配送日の遅延についてご説明しましたが、お客様はご納得いただけませんでした。
責任者を出せとのご用命により私(ミンミ)へエスカレーションの依頼がありました。
クレーム対応事例③:お客様へのヒアリング・対応内容【対応日:1月1日】
対応を引き継いだ私は、お客様により詳しい状況を伺いました。ヒアリングの結果、明らかになったのは以下の通りです。
- 配送先を変更する事で届く日にちがズレるとは思っていなかった。
- 孫が欲しがっていた商品を事前にリサーチして注文した。
- 注文した商品は余興の目玉商品として使う予定だった。
- 余興は今日なのに目玉商品が無いのは格好がつかない。
- 自分の面目も潰された。
- 商品はどうしても今日、届けて欲しい。
通常、商品を出荷した当日のお届けというのはお受けしていませんでしたが、オペレーターの説明不足によってお客様にご迷惑をかけている状況です。
ご事情もしっかり伺いましたので、この時は物流倉庫よりご注文いただいた商品の在庫を再度確保し、お客様のご自宅へ直接お持ちする事になりました。
商品の確保を終え、私は上長をともなってお客様のご自宅を訪問し、お詫びの上で商品を直接お渡ししました。
余興前にお届け出来た事もあり、担当者には厳重に注意し、部下の教育を徹底する事をお約束する事でお客様にご納得いただけました。
【クレーム対応事例】解説とフィードバック
いたってよくある普通の問い合わせが大きなクレームに発展していった例ですね。
ここからは、今回ご紹介した事例について
- クレームはなぜ発生したのか?
- 同様のクレーム防止策
この二点について考えていきましょう。
クレーム発生の原因は担当者の確認・説明不足
- 担当者の説明不足
- 注文内容の確認不足
- 手続きが単なる流れ作業になっていた
今回のクレームが発生してしまったのは、上記3点が原因だと考えています。
注文内容の確認不足
クレーム発生の主な要因はオペレーターの説明不足でしたが、その説明不足が発生した原因が注文内容の確認不足でした。
電話接客はリアルタイムでの対応になるので、どうしても重要な情報を見落としがちです。
お客様から何らかの依頼があった場合は、ご依頼に関連する希望事項にも影響がないか確認するクセを付けておくと良いです。
例:
- お届け先変更→お届け関連の情報を見る(住所・連絡先・配送日など)
- 支払い方法変更→お支払い関連の情報を見る(金額、支払い期限など)
初めのうちは難しいです。
担当者の説明不足
今回のクレームが発生した主な原因はコレです。
私がエスカレーションを引き受けた時にお客様がおっしゃっていたこの言葉がすべてです。
結果論になってしまって申し訳ないのですが、初回対応で
配送先が変更になる事で、ご希望日のお届けが難しくなります。
ご希望にそえず申し訳ないのですが、配送先の変更を承ってもよろしいでしょうか?
このような案内が出来ていれば、お客様は何か他に策を講じる事が出来たかもしれません。
手続きが単なる流れ作業になっていた
今回対応していただいたオペレーターさんは、お客様との通話を終えた後、配送業者へお届け先の変更を依頼しています。
この手の変更手続きに慣れているオペレーターであったため、配送業者への依頼は事務的な流れ作業になってしまっていました。
配送業者へ依頼するタイミングが、ご希望日での商品お届けが難しい事に気づく最後のチャンスでしたが、この段階でもオペレーターさんはご希望日のご指定に気づく事が出来ませんでした。
- 注文内容の確認不足
- 担当者の説明不足
- 配送業者へ依頼する時の確認不足
今回ご紹介した事例は、上記の三段階で詳細なチェックが出来ていなかったために発生したクレームでした。
同様のクレームを防止するために
これは今回の事例のようにお客様がご希望日を指定されていなくても同様です。
初期対応をしたオペレーターさんに聞き込みを行い、下記のフィードバックを行いました。
- 推測でお客様の知識量を判断しない
- 慣れた手続きだからこそ、ミスがないかよく確認する
- 注文後の配送先の変更依頼は、必ず第三者に確認してもらう
推測でお客様の知識量を判断しない
今回、なぜお届け日のズレについてお伝え出来ていなかったのか担当に確認した結果、同じような依頼を受けた時に
このようなお叱りを受けたとの事です。
叱責したお客様も、今回のクレームに発展したお客様と同様にご年配の方だったため、同じようなお叱りを受ける事を恐れてご説明を省いたと報告を受けました。
「もうすでに知っている」という叱責したお客様は、ご自分が無知な人間だと思われた事がお気に召さなかったのかと推測されます。
このようなお叱りを避けたいならクッション言葉を使うのが有効です。
例:
- すでにご存知かと思い、恐縮ですが
- すべてのお客様にご案内している内容でして
上記の言葉をそえると、お相手を尊重しているような印象になります。
基礎的なご案内をする時はぜひご活用ください。
慣れた手続きだからこそ、ミスがないかよく確認する
人は初めて挑戦する事、経験が浅い事に関しては判断や手続きが慎重になります。
今回起こったクレームは、似たような依頼を大量にこなした事で生じた慣れに起因するものでした。
見慣れた情報、手続きはそれだけ頭を素通りしやすいです。慣れた手続きだからこそ、慎重な対応に務めるようオペレーターに伝えました。
注文後の変更依頼は、必ず第三者に確認してもらう
オペレーターも人間です。どれだけ慎重に対応したからと言って、100%ミスがない対応はありえません。
私も含め、今後のお客様対応で必ずミスは発生します。
人間が犯すミスを防げないのであれば、複数人で確認して一つ一つ誤りを潰していくしかありません。
今回のクレームをきっかけに、私が所属していたコールセンターは、ご注文後の変更手続きを行う場合は第三者のチェックを通す運用へ変更となりました。
ですが、ヒューマンエラーによってお客様にご迷惑をおかけする可能性は少しでも潰しておくべきです。
まとめ:お客様への説明で回避出来るクレームは未然に防止しよう
今回はクレームが発生する主な原因の一つである「説明不足」について、実例をご紹介しながらお伝えしました。
コールセンターでは、回答内容に不備がないようお客様にご案内するようにという指示が横行していますが、お客様に本当に必要な情報を過不足なく伝えるのは非常に難しい事です。
非常に難しいです。私も常日頃から心がけてはいますが、しっかりと出来ているかは分かりません。
お客様はコールセンターにお電話をかけた時、ご自分の希望だけをお話しする傾向があります。そして、そのご依頼をいただくに至った経緯をほんの少しだけもらします。
このようなワードがお客様の口から出たら、メインのご依頼内容以外にもご説明出来る事がないか考えてみましょう。
例えば
誕生日プレゼントで……
- お誕生日までに商品をお渡しできるか?
- ラッピングまでご希望か?
引越しするから……
- 配送先は引越し先になっているか?
- 配送希望日と引越し予定日の整合性が取れているか?
このあたりまで考えを巡らせる事はオペレーターになりたての方では難しいですが、普段から少しでも意識しておく事をオススメします。
将来、このような理由であなたのファンになってくれるお客様が現れます。
ぜひご自身の対応向上にお役立てください!